TOTO(株)小倉工場・北九州市介護ロボット開発コンソーシアム 視察研修会のご報告

日 時:令和元年11月28日(木)・29日(金)
視察先:TOTO株式会社小倉工場・TOTOミュージアム(1日目)
北九州市介護ロボット開発コンソーシアム・北九州市介護実習・普及センター 福祉用具プラザ北九州(2日目)

TOTO株式会社小倉工場・TOTOミュージアム

当社の事務管理グループの担当者より、小倉第一工場内の陶器の製造工程の見学と説明を聞き、TOTOミュージアム内を観覧し、TOTOの歴史、陶器製品について理解を深めた。明治36年に大倉和親は、父、孫兵衛とともに出かけた欧州視察で真っ白で清潔な衛生陶器を目にした時、「日本にもいずれ衛生陶器の時代が来る」と確信し、衛生的な陶器の便器を普及させることは、必ずや社会の発展に貢献するという固い意志と不屈の精神で衛生陶器の普及の道を歩み始めた。大正6年に北九州市小倉に日本初の衛生陶器の製造会社として東洋陶器株式会社が和親によって設立された。小倉を選んだのは、原料と燃料の入手先、商品を輸出する門司港が近かったため。のちにTOTO株式会社に社名を変更した。

小倉工場で生産している陶器製品は、小便器が58.4%、洗面器が16%、流し台11%、大便器15.1%となっている。1日でおおよそ800個を製造している。TOTOの陶器製品が完成するまでにはいくつもの工程を経なければならない。主に調製、成形、施釉、焼成、検査の5つの工程を経て作られる。
①調製…陶石、長石、粘土など20種類以上の天然素材の原料を組み合わせる工程。一つひとつ性質が異なる素材のバランスをしっかりと保ち、常に品質の安定した素地を作るための最上流工程。
②成形…衛生陶器は形状が大きく複雑なため重力の影響を受けやすく、部位ごとの収縮率がまちまちであるため、長年受け継がれた熟練された技が必要である。
③施釉…衛生陶器の多様なカラーバリエーションや外観の美しさは、いかに均一に釉薬を吹き付けるかによって決まる。吹き付ける厚さも決められており、これも熟練の技が必要となる。
④焼成…施釉された陶器は台車に乗せられ、24時間かけて115mある窯の中で焼き上げられる。台車に置く位置も熱の当たり方を計算して行われる。
⑤検査…焼きあがった陶器を木製のハンマーでたたき、ひび割れがないかなどを厳しく検査する。知識と経験を持つ認定検査員による全数検査を行い、品質の管理を行っている。
衛生陶器の製造は、工程のほぼ全てに人の手がかかっており、熟練の職人技によって作り出される焼き物そのものである。1世紀以上も前の、上下水道も整備されていない時代に「健康で文化的な生活」を提供するために起業したTOTO創業者の熱い思いが込められている。

またTOTOは陶器製品とは別に福祉機器の製造開発も行っており、誰もが年齢やライフスタイルに関わらず、自分らしく快適に過ごすことが出来る空間や、サポートする人が自分らしく快適に過ごすことが出来る空間の提供を目指している。ベッドサイド水洗トイレは経済産業省のロボット介護機器開発・導入促進事業の補助金を受けて開発した商品。介護の際に最も気を遣う排泄介助に関する様々な問題点を改善することが出来るようになった。
・家族や介助者に対する気遣いを軽減
・ポータブルトイレのバケツによる排泄物処理が不要
・移動負荷の軽減
・ADL低下防止
・介助の負担緩和
ベッドサイド水洗トイレは福祉用具プラザ北九州へ無償提供もされている。

 

 

北九州市介護ロボット開発コンソーシアム・北九州市介護実習・普及センター 福祉用具プラザ北九州

北九州市介護ロボット開発コンソーシアムについて、当コンソーシアムの運営母体である(公財)北九州産業学術推進機構(FAIS)の国家戦略特区ライン(介護ロボット技術支援グループ)主任/理学療法士 樽本洋平氏より説明を受けた。また、福祉用具プラザ北九州 所長 山本憲昭氏より当施設の特徴や活動内容について話を伺った。概要については、下記のとおり。

・北九州市介護ロボット開発コンソーシアム

介護を取り巻く全国的な課題は、人口構造の劇的変化に伴う介護人材不足の一層の深刻化と、介護サービスの質、量をいかに確保するかの2点である。北九州市はこれまでの福祉事業により、高齢者施設に関する医療・保健・福祉関係者の経験と実績を有していた。また、モノづくり都市として高い技術力と企業集積を有している。さらに、産業医大、九州栄養福祉大、九工大、学術研究都市など学術研究機関が集積しておりポテンシャルを多く含んでいる都市である。こうした中、平成28年度より国家戦略特区制度を活用した介護ロボットの実証試験に取り組むこととなった。実証試験では、①介護現場の観察、分析、②介護ロボットの導入、実証、③介護ロボットの改良、開発支援の3つのステージに分類し、人(介護職員)とテクノロジー(介護ロボットやICT等)が融和した“全国初の成功モデル”となる「介護イノベーション」(北九州モデル)を掲げて活動を展開している。介護現場の分析では、作業の観察を通して介護作業を分類化し、作業の見える化や作業改善の基礎資料とした。介護ロボットの導入、実証では施設職員を対象として、ロボット技術を使いこなす専門人材である介護ロボットマスター育成講習を実施している。また、実際に福祉施設に見守り支援機器等の介護ロボットを導入し、その効果や課題を検証している。こうした介護現場のニーズを把握、反映させた介護ロボットの改良、開発を支援するのが「北九州市介護ロボット開発コンソーシアム」である。コンソーシアム会員は、介護ロボット関連技術の開発、改良に必要な技術を有した法人((株)安川電機、TOTO(株)など48企業)と個人である。会員を対象として公募を行い、採択されたテーマに補助を行うことにより介護ロボットの改良、開発をバックアップしている。この補助事業は、開発完了後に北九州市内の施設での導入実証を行うことを特徴としている(別紙参照)。その他、実証に先立って有識者で組織される北九州先端技術実証倫理審査委員会を招集して、実証内容を審査している。この委員会では、被験者や関係者に危険がないこと、不要な負担が強いられないこと、尊厳が損なわれないこと等を確認、審査している。倫理審査委員会で承認を得られた後は、実証に関係する利用者やその家族への説明、施設職員への説明を施設が行って合意を得るようにし、実証を行う企業と施設との連携がスムーズに進むよう支援している。平成28年度から今年度まで、特別養護老人ホームを運営している5つの社会福祉法人の協力にて、介護ロボット等を実証できる28の施設、サービスの場を提供している。介護ロボットの開発には、施設との連携が重要である。そのため、会員と施設とが意見交換できる場を積極的に設けている。そこでは、現状の介護ロボットの効果を認めつつも、まだまだ不満や不安が多いことが共有された。

~これまでの成果~
①   会員の増加 22企業、団体 → 48企業、団体
②   介護ロボットの改良、開発支援
もともと別々の機器として使われていた介護記録支援機器と見守り支援機器の情報連携が実現され、見守り支援機器の検知情報や対応を介護記録へ反映できるようになった。また、サポート機能付き介護ユニフォームやバイタル情報自動記録システムの高性能化などの成果が出ている。
③   実証効果の波及
いくつかの施設では、実証期間終了後、見守り支援機器、記録支援機器、情報共有支援機器を自前で購入した。また、介護現場の現状をデータ化できたことで、仕事内容やシフトの見直しが検討されたり、設備導入や作業姿勢の改善がなされたり施設の意識変化が起きている。
今後は、会員と施設との連携をさらに強化するとともに、介護現場のニーズと会員のシーズの融合を進める。また、介護ロボットの導入実証を促進し、生活空間に即したロボットの改良、開発を後押ししていく。介護イノベーション「北九州モデル」の実現に向けて、活動を推進していく。

・福祉用具プラザ北九州

約1200点の自助具や福祉用具を展示している(販売はしていない)。年に2回、展示品入れ替えのための協議会を開催、全国から数多くの展示依頼がある。年間、約2万人が来場。
市民や専門職を対象としたセミナーや福祉用具の使い方や選択方法等に関する様々な相談に対応している。

 

 

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