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TMOの設立は県内では四地域

 中心市街地活性化法では市町村が、地域住民の意見を反映した「市街地の整備改善」と「商業等の活性化」を一体的に進める基本計画を策定することとしている(別表W「事業実施までの流れ」参照)。県内での策定済みは十五市一町。
 さらに基本計画の「商業等の活性化」への事業構想を市町村長から認定された商工会、商工会議所又は第三セクターがTMO(タウンマネージメント機関)となり、計画区域内で実施される各種事業を総合的に管理・運営、実施していくとされているが、TMO設立はまだ四地域に過ぎない。さらに事業計画が国の認定にまで至ったのは、島田と三島の二地域だけとなる。(六月末現在)

本格的な事業はこれから

 県内各TMOの現況を概観すると、一番設立の早かった島田では、すでに六階建て立体駐車場(収容一八七台)を建設。この三月からは毎月、第四日曜日に「元気市」を開催。今後、商店街中央に位置する帯通りを活用したイベントを検討中である。
 掛川では、「駅前、商店街、歴史・文化・伝統ゾーンの魅力アップと回遊性を生み出す仕掛け作り」を目指しているが、当面の課題として、駅前の再開発ビルを建て替えを検討。立体駐車場・居住マンション・テナントが一体となったものとし、平成十八年末のオープンを目指している。なお、TMOは掛川商工会議所から「かけがわ街づくり(株)」へこの八月にも承継される。
 沼津は、(1)空き店舗対策事業(チャレンジショップ、燦々小劇場等)*チャレンジショップ=新規開業意欲のある者を商店街の空き店舗に出店させて、新規出店者を創出する試み
(2)(狩野川沿いの)蔵のレストスポット整備事業を中心に構想。
そのほか大手町交差点ガーデニング事業なども実施している。
 昨年九月には、沼津市の中心市街地である「アーケード名店街」に、ミニ・チャレンジショップを開店。店内は二〜三坪に区画割りされ、(1)足裏マッサージ(2)不要品の委託販売B織物販売Cアイドルグッズ等販売の四人のチャレンジャーがそれぞれ順調な滑り出しを見せていたが、現在は足裏マッサージ店を残すのみとなり、新たな出店者を募集。九月から新規出店者を迎えての再スタートとなる。
 なお、沼津においてもTMOは商工会議所を離れ、十五年度からは、「(株)ぬまづ未来公社」が母体となる計画。より民間的な発想を取り入れていく。
 三島では、せせらぎと歴史文化を活かした「にぎわいと回遊性のある中心商店街の創出」がテーマ。三島駅前〜三嶋大社門前の三区域に分け、湧水を活かした活性化策を策定。電線地中化、駅前地区の整備なども進める。

チャレンジショップ事業は商店街ぐるみで

 なお、TMOとは直接関連はないが、チャレンジショップについては、三島地区でも平成十二年度〜二年間にわたり、地元の大学生主体で運営。四〇坪の店舗は、パソコンショップでスタートし、二年目は古着中心の扱いとしたが、経営として成り立つには至らなかったようだ。
 「他県の成功事例では街の問題として捉え、商店街のメンバーが一体となって経験に基づいた細かなノウハウを提供している。
家賃補助や形式的な経営指導だけでは成功は難しい」(地元経営指導員)。
 チャレンジショップ事業は、短期的には「空き店舗解消事業」として、長期的には「商業版インキュベート施設」として商店街への出店者を創出することとなるため、多くの商店街や商工会議所などで取り組んでいるが、その場限りの「空き店舗解消事業」とならないためにも商店街とチャレンジャーが一体となった活動が期待される。


中小企業静岡(2002年 8月号 No.585)