特 集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 



くみあい百景




▲夏の名物として新たにハモを
 提供。加工場では骨切りなど
 手間のかかる作業を行う。


▲トラフグの産地ブランド化
 を呼び掛けた新村理事長

トラフグの次は天然ハモ

 ふぐ漁は十月から二月まで。「残り七カ月、工場を遊ばせるわけにはいかない」と夏は天然ハモの提供に乗り出した。ハモは舞阪漁港などで年間四トンの水揚げがあるが、大半が京都など関西方面に出荷されていた。
 組合では舞阪漁港で買い付けトラフグと同様に、加工場で骨切りなど手間のかかる下処理作業をして、組合員に提供する。
 初年度は約二トンを処理し、一キロ三千五百〜五千円で販売する。ホテルや旅館は六月一日から九月三十日まで「遠州灘天然鱧祭り」として、ハモ会席などにして宿泊客らに提供する。

地域一体で知名度拡大

 天然トラフグと天然ハモ、二つの浜名湖新ブランドが誕生した。目標は「名物」として育て定着させること。新村理事長は「先ずはトラフグの知名度拡大が課題。中小企業庁が今年度から創設した『JAPANブランド育成支援事業』に浜松商工会議所がノミネートしたフグのブランド化と観光振興が採択された。二千五百万円の助成を受けて首都圏でのアンテナショップ開設などが予定されている。組合では料理技術の研究、調理人の育成はもとより、遠州灘天然トラフグを全国ブランド化することで食品製造業・漁業・農業など幅広い産業の活性化を目指す当事業に積極的に参画していきたい」と抱負を語る。
 地産地消をキーワードに地域振興を担う組合として立ち上げから十カ月。“ポスト花博”を見据えて「冬はフグ、夏はハモ」を観光客誘致の目玉にしようとの挑戦が、いま始まった。




中小企業静岡(2004年9月号 No.610)