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  パートタイム労働者の労働条件などの処遇についての考え方は?
 
パートタイム労働指針でいう「処遇」には、賃金、賞与、退職金はもちろんのこと、年次有給休暇等の労働条件や教育訓練、福利厚生などが含まれます。これらの処遇について、労働基準法等の法令を遵守しなければならないことはもとより、パートタイム労働法及びパートタイム労働指針においては、就業の実態、正社員との均衡等を考慮した処遇とするよう努めることとされています。
参考:パートタイム労働法第3条、パートタイム労働指針第2
 
正社員との均衡を考慮した処遇とは?
 
パートタイム労働法及びパートタイム労働指針においては、事業主に対して、パートタイム労働者の就業の実態を踏まえ、パートタイム労働者と正社員とを比較したときのバランスを考慮して処遇するよう努めることを求めています。
中でも、職務が正社員と同じパートタイム労働者については、パートタイム労働指針)において、均衡を考慮するに当たって次のような考え方を踏まえるべきとされています。
@人材活用の仕組み、運用等が正社員と実質的に異ならないパートタイム労働者については、正社員と処遇の決定方法を合わせる等の措置を講ずることにより、均衡の確保を図るように努める。
A人材活用の仕組み、運用等が正社員と異なるパートタイム労働者については、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずることにより、均衡を図るように努める。
参考:パートタイム労働法第3条、パートタイム労働指針第2
 
パートタイム労働者の残業の賃金は?
 
残業した場合の割増賃金は、法定労働時間(1週間につき40時間、1日につき8時間)を超えた労働時間については支払わなければなりません。したがって、パートタイム労働者でもこの時間を超えて働いた場合、割増賃金が支払われますが、法定労働時間内での残業の場合(例えば1日の労働時間が6時間で7時間働いた場合など)には、特段の決めがない場合、通常の賃金を支払えば足りるということになります。なお、午後10時から午前5時までの深夜の時間帯の場合は、通常の労働時間の賃金の25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
参考:労働基準法第32条、第37条

 
パートタイム労働者の休憩時間は?
 
パートタイム労働者についても1日の労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間が労働時間の途中に与えられます。
参考:労働基準法第34条

パートタイム労働者の休日は?
 
パートタイム労働者に対しても1日の勤務時間の長短に関わらず、「毎週少なくとも1回の休日」または「4週間を通じ4日以上の休日」が与えられます。ただし、1週間の勤務日数が少ない場合(例えば毎週4日勤務の場合など)には残り3日は労働義務がない日ですので改めて休日が与えられることはありません。
参考:労働基準法第35条

パートタイム労働者の年次有給休暇は?
 
年次有給休暇は雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対し6か月経過後から1年を単位として与えられます。1日の労働時間の長短に関わらず与えられますので、パートタイム労働者も当然対象となります。
具体的な休暇日数は労働時間、継続勤務期間に応じて定められています(P-10参照)。
なお、出勤日の計算においては遅刻または早退した日であっても、一部でも出勤して働けば出勤日となります。また、@労働者が業務上の負傷疾病により療養のため休業した日、A育児休業・介護休業等に関する法律に基づき育児休業又は介護休業した期間、B産前産後に休業した日、C年次有給休暇を取得した日も、出勤したものとして取り扱われます。正社員に労働基準法を上回る年次有給休暇を与えている場合には、Q正社員との均衡に考慮した処遇を参考にパートタイム労働者に対しても均衡の考慮努めてください。
参考:労働基準法第39条、パートタイム労働指針第2

期間の定めのある労働契約を締結するときは?
 
期間の定めのある労働契約の締結時や期間の満了時などにおけるトラブルを防止するため、有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準において、事業主が講ずべき措置が定められていますので、事業主はこの基準を踏まえて期間の定めのある労働契約を締結することが求められます。
参考:労働基準法第14条第2項及び第3項 有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準 パートタイム労労働指針第3の1(5)
 
パートタイム労働者という名称であっても所定労働時間が正社員とほとんど同じ労働者の処遇は?
 
パートタイム労働者という名称であっても所定労働時間が正社員とほとんど同じ労働者のうち、正社員と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇の面で正社員と区別して取り扱われている者については、その名称によることなく実態に応じて正社員としてふさわしい処遇をするように努めるものとされています。
参考:パートタイム労働指針第3の4

妊娠中、出産後のパートタイム労働者に対する保護は?
 
パートタイム労働者についても正社員と同様の保護が必要です。使用者は、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間の産前産後休業を与えなければならないのはもちろんのこと、母性健康管理の措置等も講じなければなりません。
参考:労働基準法第65条、第66条、第67条男女雇用機会均等法第22条、第23条
妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針

パートタイム労働者の育児休業、介護休業は?
 
パートタイム労働者も基本的に育児休業及び介護休業をとることができます。ただし、日々雇用される者、期間を定めて雇用される者、雇用期間が1年に満たない労働者等であって労使協定で定められた者については対象外とされています。しかし、期間を定めて雇用されている者であっても当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には休業の対象となるものであり、その判断に当たっての留意事項が大臣告示で示されています。
参考:育児・介護休業法第6条第1項及び第2項、第12条第2項、第2条
子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針第2の1

パートタイム労働者には労働保険が適用されますか?
 
雇用保険については、次の要件を満たす場合パートタイム労働者に対しても適用されます。
@1週間の所定労働時間が20時間以上であること、A1年以上引き続き雇用されることが見込まれること。
労災保険については、パートタイム労働者に原則として全員適用されます。

パートタイム労働者には社会保険が適用されますか?
 
健康保険、厚生年金については、労働時間が当該事業所において同種の業務に従事する正社員の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である場合、原則として適用対象となります。
なお、健康保険及び厚生年金の適用対象とならない者については、健康保険においては、@本人の年収が130万円未満で、家族が健康保険に加入している場合には、その被扶養者となり、A本人の年収が130万円未満で、家族が健康保険に加入していない場合、又は、本人の年収が130万円以上である場合は、国民健康保険の被保険者となります。また、年金においては、@のうち、扶養している者が本人の配偶者であって、厚生年金に加入している場合は、国民年金の第3号被保険者となり、@のそれ以外の者とAの場合は、国民年金の第1号被保険者となります。


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