高度化事業


 中小企業が協同して行う工場団地計画の推進は、個別企業が単独で行う場合と異なり、幾つかの新たな取り組みが求められます。万一こうした事がおろそかにされますと、せっかくの経営の近代化実現の機会が失われたり、共同して行うことに伴う困難に直面し余分な時間やコストを招くことになります。
 そこで、計画の円滑な推進のため、早い段階、特に構想〜基本計画の段階で十分検討すべき基本的な事項に係る留意点を述べます。

 まず、集団化目標、即ち何を目的としてどのような団地をつくりたいのか(コンセプト)を明確にし、参加企業の意思統一を図り全員が共有することが重要です。
 これが欠けていると、団地の姿、組合事業内容、施設計画等が定まらず、単に工場が集まっただけで集団化効果が十分発揮されない団地になります。

  1. 集団化目標の考え方

     集団化目標は、「どのような団地をつくるか」と「団地において集団として何を行うか」が内容となりますが、次の様な要素について検討する必要があります

    「どのような団地をつくるか」


    ア 参加企業の企業立地基盤として
      (例)緑豊かな工場公園団地
    イ企業集団として
      (例)多様性を活かして相互交流により新しい可能性を追求する企業集団
    ウ地域社会との関係において
      (例)地域から信頼され愛される団地

    「集団として何を行うか」
     集積のメリットを活かしてどのような共同事業等を行うかの要素です。

    ア 集団で行うことが効率的な事業
      (例)共同加工、購入、団地内受発注等
    イ 集団でなければ成し得ない事業
      (例)共同受注、新製品開発、技術交流、個別では採算不可能な事業等

  2. 検討に当たっての留意点

     まず、参加企業が個別に保有する将来目標を早い段階から持ち寄り、各社に共通し、かつグループ全体のテーマとして取り上げることが効果的と目される目標を掘り起こすことが大切です。また、1で述べたような多角的な側面から幅広く検討し、現状の課題解決に止まらず将来のあり方を先取りする姿勢も必要です。

 工場団地計画の円滑な推進、成功の鍵は、団地としての目標共有と、目標の実現に向けた参加企業の熱意と協調性の強さにあると言っても過言ではありません。
 団地によって参加企業の集め方はさまざまです。市や商工会議所等が公募する場合と参加者が自らの手で集める場合があります。また、参加者の業種構成も異業種団地の様に多様化していきます。したがって、どのような募集形態、業種構成であっても、参加メンバーは、集団化目標に対する理解と参加の強い意思を持っていることが前提です。組合組織への理解、協調性、責任感、近代的な経営感覚を持ち、健全な経営を行っていることも大切です。
 また、集団化目標に照らして、必要な業種や必要な技術レベルの企業の参加を得ることも検討すべきことです。このような条件を満たす企業の中から、原則として20社以上(特例的に10社または5社以上の場合もある)を確保することがまず前提となります。
 次に参加メンバーがほぼ決まったら、団地進出の意思を固め、団地づくりへの結束力を強め、集団化意識の高揚を図り運命共同体としての精神的基盤を固めることが重要です。これは、時間がかかる事でもありますので、できるだけ早く次の様な取り組みをスタートさせることが必要となります。
◎団地設立準備会など参加者による組織の設立
◎参加者の相互理解と親睦のための集会や相互見学会の開催
◎制度や計画作成の勉強会、先進団地の視察
◎団地建設に必要な自己賃金の積立の開始

 団地の受け皿として用地の目途をつけることも団地づくりの前提です。土地の絶対的不足、都市化の進展の中で、団地用地として適切な立地、地形、広さ、更に適切な価格の用地を確保することは相当な困難を伴います。
 用地確保には、公共団体の造成した用地の分譲を受ける方法と組合自らが地権者との交渉から造成まで行う方法が一般的ですが、特に後者の場合は容易なことではありません。用地取得が難航し、3〜5年、またそれ以上かかるケースもあります。更に開発許可等も絡んでくるため、早めに自治体や商工3団体等に協力を依頼し、用地の斡旋、用地交渉の代行、許認可手続き等の支援を受けて進めることが重要となります。
 また、用地の選定に当たっては、次の様な条件を考慮して慎重に検討する必要があります。

  1. 制度要件で定める適地であること。
     都市計画法上の工業地域または工業専用地域、中部圏整備法の指定する都市開発区域、工場立地法による適地等。
  2. 主要道路へのアクセス、団地への取付道路の確保。
  3. 地形、地質からみて適切なこと。
     平坦で長方形が理想ですが、山を切り拓く場合は、造成費が多くかかること、有効利用面積に留意が必要。また、軟弱な地盤は避けることが賢明ですが、止むを得ない場合は抗打ち等の基礎工事に多額の費用がかかる事に留意が必要です。
  4. 電力、上下水道等インフラ整備に過度に多額な投資を要しないこと。
  5. 地域社会の受け入れが可能なこと。
  6. 開発許可に伴う開発条件を予め調べておくこと。

 団地づくりは参加者が自ら企画・立案・実行しなければならず、そのため解決しなければならない多くの課題があり、大変な業務量を処理しなければなりません。
 そのため、参加者全員が各々の役割を分担し、責任をもって取り組む推進体制を確立することが計画づくりの円滑化のみならず、完成後運営をスムーズに進める基盤を形成する上で極めて重要です。
 推進体制には、全員で組織した準備組合の下に、リーダー、業務別委員会および事務局が必要となります。

  1. リーダー
     リーダーは、参加メンバーの団地づくりへの意欲を引き出し、意見や考え方の調整・統一・結集を図り推進していく機関車の役割を果たすことが必要で、理事長に適切な人材を得ることが大切です。
     バランス感覚、企画力、実行力といった資質に加え、理事長企業の経営内容が優れ、社内に日常業務を任せられる仕組みができていることが条件です。

  2. 業務別委員会
     業務別委員会は、団地づくりに必要な業務を、参加者が分担して立案・実行していく重要な役割をもちます。また、これに全員が積極的に参加することにより、連帯感を培い、集団化目標の共有化を図り、より強固な集団化意識の醸成が可能となります。
     委員会構成は、計画・建設段階では、総務、金融、建設、共同事業委員会等を設ける必要があります。

  3. 事務局
     組合事務局は、業務別委員会が行う業務、計画書作成に係る膨大な事務処理を担当するため、完成後も苦労を共にしていける適切な人材を早期に確保する必要があります。

 共同事業は、集団化目標を実現するための具体的な手段であり、組合計画の重要な構成要素です。したがって、共同事業により集団化効果を最大限発揮させ、そのメリットを各社の経営に取り込み経営体質の改善が図れるよう、具体的な共同事業内容について、経営課題の解決、長期的な集団化目標の追求の観点から選定する必要があります。
 共同事業の選択の基本的な考え方は、参加者全員が、現在・将来とも自社の経営上必要とする事業であり、組合による実施が可能であり、集団で行うことによる効果が十分期待できることです。

  1. 施設を伴う共同事業
     施設を伴う事業は、投資であり多くの場合参加者全員の償還負担を伴います。したがって、工場団地として必要不可欠な道路、緑地、汚水処理場等環境整備に関するものと必要最小限の組合会館以外の共同施設については、利用量と必要性と採算性を十分検討する必要があります。例えば、共同加工場、食堂、共同受電施設等です。

  2. 施設を伴わない共同事業
     各々の事業の必要性を委員会で検討し積極的に取り組むことが望まれます。
     金融事業は、組合にとってリスクの伴う事業でもあるため、リスクの軽減が図れるような十分な体制づくりを行う必要があります。
     また、多様な技術力等を有する企業の集積を活かして、経営・技術の交流、相互補完により新製品開発、共同受注、教育研修等の事業が重要です。

 参加企業は、集団化を経営体質の抜本的改善の機会として捉え、自社の将来像をスケッチし、経営目標の見直しから、新たな目標の実現の為の販売、生産計画、またそれに必要な施設から要員計画に至る経営全体の計画を作り、それを集団化計画に盛り込んでいく姿勢が重要です。
 また、赤字体質の企業では、団地進出後の金利負担、ランニングコスト等固定費が大幅に上昇することは避けられないため、予めリスラクチャリングに取り組むなどして収益性改善のための見通しを立てることも大切です。



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【1】工場団地づくりの進め方 ―構想〜完成―] [【2】工場団地計画の推進上の留意点]
[【3】おわりに−円滑な計画推進のポイント] [工業団地づくりのステップ]

 


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