50年の歴史、新たな団結に向けて
1 開催趣旨
2 第1部 
商工4団体総決起大会
2 第2部 中央会創立50周年記念式典
50年の歴史、
新たな団結に向けて

3政党からの
中小企業施策の提言
1 未来宣言の採択
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第2部 中央会創立50周年記念式典
50年の歴史、新たな団結に向けて
(全文)

中小企業政策の根幹 連携対策の強化充実を

静岡県中小企業団体中央会 専務理事 高塚 篤 氏

  静岡県下の中小企業は、製造出荷額、雇用人数、税額貢献、地域生活貢献など経済・社会指数を見ても明確のとおり、静岡経済の多数を占め、まさに、静岡県経済の基盤であり、要であります。
 さらに、県下の協同組合を初めとする中小企業組合組織は、全国有数の規模と件数を誇り、会員組合員の経営活動の補完を通じ、地域経済に与える経済的波及効果は図り知れないものがあります。
 特に本県にあっては、組合数、その事業規模から考えても、全国的にトップクラスであり、正に、静岡県は「中小企業組合立県」としての地位を確固たるものにしているといって過言でありません。現在、県下の中小企業組合は、様々の組合事業を通じ、組合員たる中小企業経営に欠くべからざる組織として、その存在を誇示しているといっていいと思います。
 その中にあって、静岡県中小企業団体中央会は、昭和30年の設立以来、50年にわたり静岡県下の中小企業組合の運営指導に当たり、その人員、予算、事業規模も全国有数の中央会として発展を続けてまいりました。これも、一重に会員組合ならびに行政、関係諸機関のご理解、ご協力の賜物であり、改めて感謝を申し上げたいと考えております。
 これまでも、中小企業、組合そして中央会を取り巻く経済・社会環境は、厳しいものがありましたが、困難を乗り越え、今日の姿を形成してまいりました。しかし、現在の政治、経済、社会の変化は、かってない厳しさであり、中小企業組合そして中央会も、その激変の重圧に、日々、呻吟しているのが偽らざる事実であります。
 特に、今日の変化は従来のような「表層面」の変化というより、「構造的な変化・変革」ともいえるものであり、その対処方法を見出しにくいという特徴を有しております。
 また、中小企業関係予算の中で、ひとつ、中央会が関係する「中小企業組合関係予算」(組織化予算、連携予算) が減少していく方向に我々は大きな危惧を感じております。
 さて、以上のような激しく変化する政治、経済、社会の現状を背景として、静岡県中央会としては、以下の諸点に関して、政党関係者に意見を述べたいと考えております。

[1] 現在の「中小企業連携組織対策事業費補助金」の削減、廃止の方向に関して 
現在、中小企業組合関係に対する国庫補助金である「中小企業連携組織対策事業費補助金」は、三位一体改革の名のもとに削減・廃止の方向で検討されております。
我々はこの方向に大きな危惧を感じております。
 地方分権の大きな潮流において、地方が自立し、地方独自の中小企業政策が構築されることに我々はまったく異論がありません。本会もこれまでの県大会にて繰り返し、その主張を続けております。
 しかし、「中小企業基本法」において、
「中小企業の交流・連携の推進、中小企業の共同化の組織の整備、そしてそのための必要な事業の補助を講じる」
との定めがあるように、「組織化対策事業」は国の責務として実施されるべきであり、単純に一般財源化されるべきものではないと考えます。
 中小企業政策の根幹となるべき施策部分に関しては、国の「中小企業連携組織対策事業費補助金」として、従来通り堅持、充実し、その上で地方独自の中小企業政策は、地方の責任をもって、地方の視点で事業化を実現すべきであると考えております。

[2] 「行政サービス」の組合委託、そして「官公需受注適格組合」の活用に関して
 今日、行財政改革、地方自治の確立を命題に、地方行政の権限強化と財政削減が叫ばれております。今後の地方行政は、サービスの質を維持すると同時に、合理化、効率的な行政サービスの必要に迫られているのも事実と考えております。
 その手段の一つとして「行政サービスの民間移行」が今後一層進展するものと予想されます。すでに地方行政機関にあっては「指定管理者制度」を設けるなど具体的取り組みに着手していることは、ご承知の通りです。
 民間の委託先としては様々な組織が考えられますが、中小企業組合こそ、その委託先として最も相応しい組織といえます。中小企業組合は地域内組織であり、地域の企業の集合体であります。また、一民間組織と違い、半公共性もあり、同時に企業経営のとしても、優れた側面をもっております。
 今後、地方行政機関は、その中小企業組合の優位性を十分理解し、行政サービスの民間委託に関しては、中小企業組合に優先的に委託するよう配慮願いたいと考えます。
 また、「官公需受注適格組合」の活用に関してであります。
 現在、中小企業への受注拡大を目的に官公庁が発注する工事、サービスに関して受注資格条件を満たした組合を「官公需受注適格組合」として認定し、優先的に官公庁の工事、サービスを請けさせる制度が発足して  年になります。
 しかし、「官公需受注適格組合」の積極的な受注活動に関わらず、官公庁からの受注実績は少なく落胆せざるを得ません。また、これは国の指導指針とも乖離するものであります。
 ぜひ、地方行政機関にあっては、当制度の主旨を十分理解し、「官公需受注適格組合」への発注機会を増やすよう要請をしたいと考えます。
 また、更新手続き、更新期間においても煩雑さがみられるので、その簡素化もあわせて重ねて要請したいと考えます。

[3] 「中小企業新事業活動促進法」に関する中央会の取組みに関して
 本年4月、「中小企業新事業活動促進法」が施行され、新たな支援策として「新連携」がスタートしました。この新連携は「複数の事業者が異なる事業分野で蓄積したノウハウ、技術等の経営資源を持ち寄り、それらが融合することで新たな需要開拓を行うグループ」を意味し、そのグループを認定し、補助事業を実施するものとされております。そして、そのグループの認定は、各ブロックに設置された「新連携支援地域戦略会議」が当たり、具体的な運営指導はブロック内に設置された事務局が支援チームを作り必要な支援に当たるとされております。
 しかし、地方ブロックという広域な支援体制で十分な成果が発揮できるか、という点に関して疑問を感じますし、地域には地域独自の特性があり、ネットワークが存在します。その意味でも「新連携」は、現状の広域ブロックでの支援体制ではなく、県レベルで「戦略会議」を設置することが、より大きな成果・効果を発揮できるものと確信しております。
 さらに、「新連携」という発想は、長い運営経験と実績をもつ協同組合等の中小企業組合を基盤に発生したものでもあります。その運営、指導にあっては、半世紀にわたり連携ノウハウを有した中央会のような組織がふさわしいものと考えます。
 よって、「新連携支援地域戦略会議」は、静岡県のような都道府県ベースに設置し、その運営指導は中央会が当たることが必要と考えております。

[4] 人材活用、雇用対策に関して
 本県は、ものづくりは中小企業と共に、そこに勤務する大勢の労働者によって支えられております。その中にあって少子・高齢化傾向にあわせ、各中小企業は雇用環境整備の改善に当たっておりますが、中小零細企業にあっては、資金力、人材不足から十分な雇用環境整備ができないのが実態であります。中小企業、特に地場産業にとっては若年労働力確保が死活問題でもあるため、その雇用環境整備に関し、組合等を活用した環境整備補助金などの特段の支援策を要望したいと考えます。
 また、若年者に限らず、高齢者、女性雇用に関しても、人材活用のための諸政策の拡充を願いたいと思います。

[5] 環境問題、特に温暖化対策、循環型経済社会の構築の諸施策に関して
 地球温暖化対策については静岡県では「新ふじのくにアジェンダ21」を策定して、その対策を推進しております。ご承知の通り、これは京都議定書の温室効果ガスの削減を目指したものであります。しかし、中小企業では、省エネルギー対策の改善、新エネルギーへの設備投資は、費用対効果、投資回収期間の長期化などにより、設置が難しい側面を抱えております。こうした課題解決には対象範囲の広く、利用しやすい融資制度の創設を願いたい。
 また、循環型経済社会の構築には、法制度は整備されつつありますが、一層のリサイクル制度の高度化が図られる必要があります。その一つとして「リサイクル団地」(ミニエコタウン構想)などの設置に関する支援策が望まれます。ぜひ、ご検討を願いたいと考えます。

[6] 静岡県型中小企業政策「3つの視点と12の提言」に関して
 平成15年度開催された「第49回静岡県大会」において、中央会を含む商工4団体の共同提案として我々は「3つの視点と12の提言」と題する静岡県型中小企業政策の提言を行いました。
 その意図するところは、画一的、固定的な中小企業政策ではなく、激しく変化する経済・社会環境に即応し、また静岡県の産業・文化・歴史に立脚した自由闊達であり、フレキシビリティに富んだ中小企業政策、施策の必要性を訴えたものであります。
 引き続き、これらの施策の充実、強化にも格段のご配慮を願いたく存じます。

[7] 「組合法」の抜本的改正と柔軟な解釈に関して
 昭和24年に成立した「中小企業等協同組合法」をはじめ、各種の組合関係法律も様々な側面において、制度疲労を起こしている部分があります。考えてみれば、法成立当時の経済社会と現在は大きく様変わりしているわけですので、当然起こりえる現象です。現実の経済活動の中で、中小企業組合関係者そして中央会も日々その矛盾点と格闘をするというのが偽らざる真実であります。
 現在の経済社会環境に即した組合法の改正と、その柔軟な解釈に関して、強くお願いしたいと考えます。

 中央会としても多くの要望事項がありますが、以上7点に関しまして、特に要望をしたいと考え、発言を終了いたします。

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