3 ショーとディナーと蝶ネクタイ

 わが国屈指の老舗デパート、提携しているパリのオート・クチュールからやってきたデザイナーの氏を囲むショーとディナーの会が催された時のこと。
 ショー会場の入り口で、顔なじみの部長さんが「先生さすがですね」と声をかけてきました。それは、私の蝶タイに対するひやかしを込めたものとすぐにわかりました。そういう彼らの装いは、全員がブラック・スーツにお定まりの白の結び下げのネクタイ、いわゆるわが国特有の略礼装スタイルなのです。
 ショーが終わり、ディナーのメイン・テーブルについた遠来のデザイナー氏を見てびっくり。なんということか、着ているジャケット、スラックスの組み合せからタイの形と色まで私とそっくり同じ装いではありませんか。
 多分こんなものだろうと、ある程度の予測はしていたが、色まで同じとは驚きであり、面はゆい思いをさせられたものです。
 帰りがけに、先ほどの部長さん、「先生さすがですね」と再びいいました。こんどのさすがは本気のさすがであったと思うのですが。


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 1 不似合いな客は壁際の柱の影に
 2 エレガントな夜の装い 無地、暗調、光沢
 3 ショーとディナーと蝶ネクタイ
 4 シャワー、髭剃り、無地の服
 5 その名のとおり『はじめに時間ありき』
 6 広義のフォーム『みんなと同じ装いを』
 7 フォーマル・ウェアは二種類ある
 8 完璧さが求められるプロフェッショナルの答え
 9 みんなと同じ装いをするために
10 主催者自身が当日なにを着るのか
11 パーティはすべて夜の雰囲気で
12 招待客への表敬は最上級の平服で

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